こどもの頭を良くするために重要なのは、

知育や勉強だけではなく食事も重要であることをご存じですか?

脳の栄養素をとらずして学びを与えるのは、

初期のパソコンに最新のソフトを入れようとしているようなもの。

乳幼児期に食べたものが一生モノの脳を作ると言っても過言ではありません。

学びを最大限に吸収しのびのび育っていくために、

脳を常に良い状態にしておきたいですよね。

このページではこどもの脳のすこやかな発達のために特に意識したい栄養素と、

その栄養素が日常の当たり前になる方法をご紹介します。

脳は3歳までにほとんどが完成!

身長や体重などは大人になるにつれて徐々に成長していきますが、脳は胎児期から急速に成長を続け、

なんと3歳頃までに基盤が作られます

3歳頃までに脳の大部分が成長するため、乳幼児期には脳の成長を促すために十分な栄養が必要だということが分かっています。[1-4]

脳はその後も成長を続けますが、特に成長が顕著な乳幼児期(0~6歳頃)までの脳の成長に合わせた栄養素をきちんととれているかどうかが、認知機能や学習能力に影響を与える可能性があることが示唆されています。[3,4]

つまり、“乳幼児期”という限られた数年間にこそ、脳に良いアプローチをし続けることが重要なのです。では、何が幼児期の脳にとって重要なのでしょうか。

脳の成長に特に重要な栄養素は?

私たちの体は言うまでもなく”食べたもの”で作られています。脳も同様です。

知育や勉強以外にも、乳幼児期の脳には必要な栄養素が不足しないようにすることが重要です。

次に、脳の成長に特に重要な栄養素をチェックしていきましょう。

糖質

体は糖質以外の栄養素もエネルギー源として使うことができますが、脳は糖質だけが唯一のエネルギー源です。

糖質が十分にとれていないと、いわば“ガス欠状態の車”となり、どんなに健康的な脳や身体能力を持っていたとしても力を十分に発揮することができないのです。

ただし、糖質のとり方にも注意点が。ただ糖質ばかりとっていても脳を健やかに成長させ、「頭の良いこども」に育てることはできません。正しく健やかな「糖質のとり方」をすることが大切です。 これについてはまた別の記事で紹介しますね。[5]

たんぱく質

脳のほとんどは脂質でできているのですが、一部はたんぱく質でできています

また、脳から全身に発信される“信号”(=神経伝達物質)も、たんぱく質が材料なのです。

脳を活発に動かし、柔軟に物事を考え、行動に移すためには脳からの信号がピピっと素早く正確に届く必要がありますね。脳そのものや、脳からの信号をきちんと作ってあげるためにたんぱく質は重要な栄養素と言えます。

しかし、たんぱく質をとるために脂っこいメニューや塩分の濃いメニューが増えてしまっては本末転倒。こどもに適したお料理をしてあげましょう。[6]

DHA

“魚を食べると頭が良くなる”という話を聞いたことがあるかもしれませんが、その因果関係は現在も研究が進められている状況です。

一方で、魚に顕著に含まれるDHAというオメガ3脂肪酸は脳を構成する脂質として重要な成分です。

脳のベースを作る栄養素・DHAを乳児期から不足しないようにとっていくことは脳の細胞や神経を健やかに育くむために大切だと言えるでしょう。[6,7]

鉄は酸素を体全身に送り届けるために必要不可欠な栄養素です。

そのため、鉄が不足していると

貧血の原因となり、疲れやすくなったり、集中力が落ちたり、イライラ(=こどもだと、癇癪をおこしたり泣きわめいてしまったり)ということが起こりやすくなります。

その上、乳幼児期の鉄不足は知的発達の面でもリスクがあると言われています。

特に偏食や少食があると鉄不足になりやすいので、日ごろから鉄を意識した食事をしたいですね。[8]

毎日の食事を“育脳ごはん”にする魔法の食材

ここまでお読みになって、「気にしなきゃいけないことが沢山ありそう…」「毎日忙しくて食事まで頭が回らない」と思ってはいませんか?

そんな心配は必要ありません♪

育脳食材を活用すれば、お料理が苦手でも忙しくても、毎日の食事を育脳ごはんにできるん です!

ここからは、手軽に育脳栄養素をちょい足しできる便利な食材をご紹介します。

魚の缶詰

魚には健やかな脳を作る栄養素であるたんぱく質やDHA、そして鉄が多く含まれています。[9]

でも、家族に魚料理は人気がない、レパートリーが少ない、調理が億劫…といったご家庭もあるのではないでしょうか。

そこで活躍するのが、缶詰です。缶詰なら加熱調理済みなので、面倒な調理は必要ありません。骨も柔らかく調理されているので食べやすく、カルシウムもとれますね。

そのままでも良いのですが、パスタやグラタン、カレー、サラダなどに活用するとこどもも食べやすいです。おすすめは鯖缶やイワシ缶。汁ごと使いましょう。ツナ缶は商品や魚の種類によってDHAの量に差があるので、その点は注意が必要です。

豆腐や納豆などの大豆製品

たんぱく質はもちろん、鉄も豊富に含まれている食材です。[9]

また、豆腐や納豆は加熱せずとも出したらそのまま食べられるので便利ですね。

みそ汁や冷奴、朝食に納豆…という定番メニューの他に、炒め物や和え物に加えるとかさ増しができたりレパートリーも増えるのでおすすめです。

焼きのり、青のり

意外だと思われるかもしれませんが、焼きのりや青のりには鉄が豊富に含まれています。

その上、緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンという栄養素や食物繊維も含まれているので、野菜が苦手・食が細い…といった悩みのあるこどもにとってもおすすめの食材です。[9]

ご飯のお供としてはもちろん、汁物にサッとかけたり、炒め物や和え物に加えると風味も増します。おやつに海苔をちぎって食べれば手指の運動にもなり、脳がより活性化されますね。

雑穀や押麦、玄米

いつもの白米に、雑穀や押麦、玄米などを混ぜて炊くだけ!

これだけでかしこい糖質のとり方に♪

雑穀や押麦、玄米を加えることで白米には少ないビタミンやミネラル、食物繊維などを補うことができ、糖質をより効果的に脳のエネルギー源として使うことができるようになります。[9]

何品も作るのは大変、作ってもなかなか食べてもらえない…という悩みのあるママにおすすめです。

まとめ

✅脳は3歳までにほとんどが完成!

✅脳の成長に重要な栄養素がある

✅毎日できる育脳ごはん術がある

脳の成長に必要な栄養素、そしてそれが手軽にとれる食材をご紹介しました。

育脳ごはんに難しい方法や面倒な作業は必要ありません♪

「頭の良いこどもに育ってほしい!」

「かしこい子どもに育てたい!」

そう思うならまず、食事から育脳していくのが重要です。

脳が育っている今のうちに、

毎日コツコツ、おうちの食事でこどもの脳を育ててあげましょう♪

参考:

[1] SE Cusick et al . The Role of Nutrition in Brain Development: The Golden Opportunity of the “First 1000 Days”. J Pediatr. 2016 Aug; 175: 16–21.

[2] E Derbyshire et al . Choline, Neurological Development and Brain Function: A Systematic Review Focusing on the First 1000 Days . Nutrients . 2020 Jun 10;12(6):1731

[3] TD Wachs et al . Issues in the timing of integrated early interventions: contributions from nutrition, neuroscience, and psychological research . Ann N Y Acad Sci . 2014 Jan;1308:89-106

[4] D Hughes et al . The Assessment of Cognitive Performance in Children:

Considerations for Detecting Nutritional Influences . Nutr Rev . 2003 Dec;61(12):413-22

[5] 厚生労働省,e-ヘルスネット,ブドウ糖

[6] 林浩平,脳神経の脂質,日本油脂学会誌, 1971年,第20巻,第10号,745-754

[7]  L Lauritzen et al . DHA Effects in Brain Development and Functio . Nutrients . 2016 Jan 4;8(1):6

[8] 厚生労働省,『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM,鉄